今回のテイスティングは、ニュージーランドとロワールという二つの産地のSauvignon Blancの個性の違いを探求してみた。
最初の Te Tera Sauvignon Blanc は、グラスに注いだ瞬間からニュージーランドらしさがはっきりと感じられる一本。淡いイエローの色調。グアバ、メロン、キウイといった明るい果実香が広がり、その奥に青々としたグリーンノートといわゆるpipi de chatがはっきりと感じられる。味わいはドライで酸が生き生きとしている。口中には甘やかな果実の印象がふわりと残る。余韻には梨や濡れた石のようなミネラル感が続き、アロマティックでありながらも辛口に整ったスタイル。価格の面から見ても、日常に常備したい一本。
次の Edmond Sancerre Alphonse Mellot は、同じSauvignon Blancでありながら方向性が大きく異なる。レモンイエローのやや濃い色合いからも成熟度の高さがうかがえる。香りはピーチ、メロン、マンゴーといった甘やかな果実が中心で、先のTe Teraのような明確な青さは感じにくい。pipi de chatも控えめだ。樽由来と思われるニュアンスが厚みを与え、味わいはフルーティーでボリュームがある。しかし十分な酸があるため重さは感じない。アルコール14%という数値もあり、ロワールの中ではややリッチな表現。後味に続くミネラルの持続はSancerreらしさを示し、全体として非常にバランスよくまとめられたワイン。ぶどうの熟度と樽の影響なのか、カリフォルニアのSauvignon Blancを想起させる側面もある。
最後の Monts Damnes Sancerre Pascal Cotat は、格の違いを感じさせる存在だ。生産者である Pascal Cotat が手がけるこのキュヴェは、名高いMonts Damnes単一畑で60年以上の古木に実ったブドウを、野生酵母で発酵させ、古樽で熟成し、無濾過で仕上げられている。色調は三本の中で最も濃いレモンイエロー。香りはまず甘やかなピーチやメロンが立ち上がるが、Mellotと比べると抑制的で静かな印象。続いてアーモンドやハーブ、すっきりとした草の香りが現れ、pipi de chatも穏やかに溶け込んでいる。味わいは香りの甘さに反してすっきりとドライだ。酸は高いが角がなく、全体が滑らかにまとまっている。余韻には鉛筆の芯を思わせるミネラルと心地よい苦味が長く残る。すべての要素が自然に統合された、とてもエレガントなワイン。
ちなみに同デザインのラベルのSancerreで、従兄弟である François Cotatのワインがあるが、よりクラシックで緊張感のあるスタイルと評される。今回飲んだPascalはややリッチで包容力のある表現といわれる。この2本も飲み比べてみたい。
今回の三本は、ニュージーランドの明快なアロマティックさから、ロワールの構造とテロワール表現へと段階的に深まっていく流れとなった。同一品種でありながら、気候、土壌、醸造哲学の違いがな個性を形づくることを体感でき満足のテイスティングだった。

左からte tera Sauvignon, Edmond Sancerre Alphonse Mellot, Les Mounts Dames Sancrerre Pascal Cotat
評価(5点満点)
te tera Sauvignon Blanc 2024 4点
Edmond Sancerre Alphonse Mellot 2019 3.8点
Les Mounts Dames Sancerre Pascal Cotat 2024 4.8点
