Gewurztraminer飲み比べ一本目は、スペイン・ピレネー山脈の南側に位置するSomontano DOPのSommos Colección Gewürztraminer。スペインバルで試したものを今回ボトルを入手した。もう一本は、 先日EDEL Natureを試したアルザスのDomaine Laurent Bannwarth Gewurztraminer。

Sommos Colección Gewürztraminer
グラスに注ぐと、淡く澄んだレモンイエローの色調が、爽やかで清潔感のある印象を与える。香りは立ち上がりから華やかで、白桃やパイナップル、メロン、ライチといったトロピカルフルーツのアロマが豊かに広がる。いずれも完熟した果実を思わせる甘やかな香りだが、決して重たくなく、軽快なフローラルさも感じられる。口に含むと、まずキリッとした酸が印象的で、香りの甘やかさとは対照的に味わいはドライ。果実のジューシーさとともに、舌の奥にかすかに残る苦味が味わいに奥行きを与えている。中盤から後半にかけては、ほのかにヴァニラや蜂蜜のニュアンスが現れ、香りの複雑さと調和しながら余韻を引き立てる。香りは甘美でありながら、味わいはシャープで引き締まった食事に合わせやすいワイン。
Domaine Laurent Bannwarth Gewurztraminer
グラスに注ぐと、濃く琥珀がかったゴールド。オレンジワインを思わせる外観には自然な濁りがあり、無濾過であることが視覚的にも伝わってくる。第一印象の香りは非常に個性的で、熟したりんごやライチ、白桃といった果実の凝縮感あるアロマに続き、蜂蜜、生姜、ドライハーブのようなスパイシーさが広がる。そこにイースト香やほのかなシトラス、さらには伽羅のような香木のニュアンスも加わり、複雑かつ印象的なブーケを形作っている。口当たりは柔らかく、厚みがありながらも、味わいは意外なほどドライ。豊かな香りに反して、口中では酸がしっかりと骨格を支えており、重さを感じさせないスムーズな飲み口を実現している。果実の甘さとスパイス、酸味のバランスが絶妙で、飲み進めるごとに新たな表情を見せてくれる。香り、味わい、テクスチャーのすべてにおいて個性が際立つが、それぞれがバラバラになることなく一体感を保っており、造り手のこだわりと技術の高さが感じられる一本。ガラス製の特殊な栓にもその思想が表れている。
評価(5点満点)

Sommos Colección Gewürztraminer 2023 4点
Domaine Laurent Bannwarth Gewurztraminer 2023 4.6点