Pommard AOCは、ブルゴーニュ地方のBeauneの南に位置する、力強いピノ・ノワールの代表的なワインだ。グラスに注ぐと、濃いルビー色が広がり、ふちには微かにブラウンがかっているが、全体的には紫色が強く感じられる。クリアで透明感があり、成熟したワインであることがわかる。
香りを嗅ぐと、最初にプラムやブラックベリーのような熟したフルーツのリッチなアロマが広がり、その後に木の香りやタバコの葉のかすかな香りが加わる。時間が経つごとに、香りが複雑さを増した。
味わいは、香りから予想されるフルーツ感に加え、木や木の実、そして森の中にいるようなニュアンスが強く感じられる。フルーツの甘さが前面に出ることはなく、むしろぴりっとしたスパイスとしっかりとしたタンニンが感じられ、苦味が広がる。鉄のようなミネラル感もあり、酸味が全体を引き締めてバランスを取っている。後味は長く、森の香りが余韻として残り、ワインの深みとストラクチャを感じる。
このワインは力強さだけでなく、エレガントさも兼ね備えている。BurgundyのPinot Noirらしい味わいだ。牛フィレステーキとの相性が抜群で、肉の旨味を引き立てつつ、しっかりとしたタンニンがバランスを整えてくれる。また、予想していたダークチョコレートとの相性も良いだろうと思っていたが、意外にも甘めのガナッシュと合わせた方が、ワインの柔らかさと甘さが引き立た。
以前に飲んだPommard Philippe Pacaletと比較するとミネラル感の強い芳しいタイプでより個性的に感じた。こちらは後味にバニラ感があり華やかだったように思った。木の香りが違うといったところか。
評価(5点満点)
Pommard Domaine Bertrand Bachelet 2020 4.5点
