貴腐ワインの歴史は1600年代にTokajiから始まったと言われている。ボルドーのChatearu d’Yquemが創業した1847年の200年以上も前だ。その甘美な味わいは王族や支配階級、音楽家などに愛されていた。そんなワインを自宅で味わえるのは本当に贅沢。
Hétszölö Tokaji Aszú 5 Puttonyosは、25年の熟成を経た貴腐ワイン。外観は澄んだ透明感のあるアンバー色で、熟成を重ねているにもかかわらず濁りはなく、非常にクリアな印象を与える。グラスに注ぐと高い粘性が見て取れ、濃縮感のある酒質が視覚的にも伝わってくる。
香りは力強く、非常に甘美だ。まず高糖度のはちみつを塊のように感じさせる濃厚なアロマが立ち上がり、続いてドライアプリコット、乾燥いちじく、マンゴーといった熟したトロピカルフルーツやドライフルーツの香りが広がる。さらにスイカズラやドライフラワーのニュアンスが加わり、熟成由来の複雑さと奥行きを備えている。背景にはバターやほのかな木のニュアンスが感じられ、全体として非常に凝縮度の高い香り。
口に含むと、濃厚なはちみつを思わせる豊かな甘みが広がる。5 Puttonyosは規定上残糖度12〜15%であるが、実際には20%前後で造られることが多く、このワインも強い甘みを持つ。しかし同時に、しっかりとした酸が骨格を形成していて、甘さが前に出過ぎることはない。バターと砂糖を思わせるリッチな風味に加え、微かな苦味と木のニュアンスが全体を引き締めている。中盤から後半にかけては、塩味のようなミネラル感と酸味が現れ、味わいに立体感を与える。余韻は長く、甘みと酸味、ミネラル感が折り重なりながら持続するロングラスティングなフィニッシュ。熟成による複雑さとフレッシュさが共存している。

ペアリングとしては、三大ブルーチーズのゴルゴンゾーラ、ロックフォール、スティルトンとは予想通り好相性だった。中でもスティルトンの力強くドライな塩味が、このワインの甘みと酸味を最も引き立てていた。また、スパイスの効いたドライフルーツのフィリングと、バターをたっぷり使ったミンスパイに対しても、ワインは全く引けを取らず、味わいをしっかりと保っていた。クリスマスを待つ時期のデザートに最適な組み合わせ。

評価(5点満点)
Hétszölö Tokaji Aszú 5 Puttonyos 2000 4.5点
